ざぁざぁと降る雨。
ここはどこなのだろう。
頭がぼーっとしてして何も分からない。
何も考えられない。
ふらり、と足を先に伸ばせば、今までの道と違って足元からはかつん、と木の音がした。。
少し歩いて、何をするのもバカらしくなって足を止める。
足は痛いし、雨はすごい。
バチバチと当たる雨に体が悲鳴を上げているようだった。
雨がふ、と止んだ気がした。
それと共に降ってきた声。
「濡れてしまいますよ」
誰かは、分からない。
でもどこかで聞いたような声。
世界が、ゆれて、真っ暗になった。
そして、誰かの呼ぶ声。
++++++++++++++
ここはどこだろう。
目を開けると見慣れたいつもの白い天井じゃなくて木で造られた天井。
身体を起こそうとするがだるくて思い通りに動かせない。
ただ、額に乗せてある冷たい感覚を知り、私は熱が出たのかと記憶を辿る。
帰り道。
たしか雨が降っていて、傘を持っていなかった。
観たいドラマの再放送もあるし待つのもなんだから走って帰ろうと足を踏み出したんだ。
そこには大きな水溜りがあって。
それでも普通は地面があるはずなのにそこに底はなかった。
ぼとーん、と私は水溜まりに濱ってしまったのだ。
いや、現実世界でこんな事あってたまるもんか。
それでも信じるしかなかった。
現実におこりうった事なのだから。
でも、ここは本当にどこだろう。
私は、助かったの?
はちらりと視線だけで部屋を見渡した。
すると丁度戸が小さく開く音がした。
音がしたほうに目を向ける。
(う、わ・・・)
そこにはすごく綺麗な金があった。
光を浴びるともっと綺麗と感じられるだろう。
はその光景に、小さく目を光らせた。
「目が覚めましたか?」
「こ、こは?」
「京邸です。君は五条大橋で倒れていたんですよ」
少しだけ微笑んで彼は答えた。
ただ、はそんな彼にふと、ある人物の面影を感じた。
そう家で待ってくれているたった一人の存在を。
扉を開けていつもの言葉を口にすれば。
彼は読んでいた本を閉じて、
ただ微笑んで振り向くのだ。
『おかえり、』と。
「兄さん・・・」
が呟けばふ、と彼の顔が驚きに変わった。
それでも、はそれを失敗だとはしらない。
家に戻ってきたのだ、とすら考えてしまっている。
驚いていた彼の顔は次の瞬間、ふと柔らかくなった。
そしての額に手を伸ばす。
「今は、まだ眠った方がいいでしょう。
熱がありますから」
ひんやりと触れた手がとても冷たかった。
その冷たさが心地いいと感じた。
の意識は、あっという間に暗闇へと沈んでいった。
うつろな世界に抱擁を