猫人間の掟
1・油断したらいけません。
2・猫人間を買っている人間の知り合いなら例外ですが飼い主以外に自分の正体を知られてはいけません。
(できる限り気をつけましょう)
3・精一杯、主人に仕えます。
きゃっと!
とても、小さい頃、ガラス越しに私を覗き込んだ青いガラス玉の目をした男の子。
こんこん、と小さく窓ガラスをノックした。
後ろにはとても綺麗な女の人。
きっとガラス玉の男の子のおかあさん。
欠伸をすると店員さんが私の籠の扉を開ける。
眩しい、と感じたら耳元で小さく目覚ましがなっていた。
「まだ、6時・・・」
時計を見て、まだ眠れると感じた私は顔を枕に埋めた。
「・・・」
目覚ましは相変わらず私の耳元でコチコチと小さく音を立てている。
「6時!!」
そうだった!
6時には起きて朝食の用意、7時に奥様と坊ちゃまを、起こして・・・。
あぁ、もうキリがない!
慌ててベット元のスリッパに足を入れるとクローゼットを豪快に開けた。
目的はもちろん、クローゼットの中にある使用人の服。
無理をいって仕立ててもらった自分用の使用人服をクローゼットから出すと、慌てて着替えた。
私、は今年で16歳になる高校生。
外見は普通の人間だが、できるだけ守らなければいけない秘密がある。
それは私が猫人間だからである。
猫人間とは12年前、各地で流行したペットのロボットの進化バージョンみたいなものだ。
ロボットではなく人間を作り出す。
進化した文明の賜物である。
だが、研究の途中、生まれてくる生命に危険がともなうため製作の禁止が出された。
私はその前に売り物として出されたものだった。
そしてこの家に買われた。
まぁ、私は猫だが、世界にはいろんな動物と混合している人もいるそうだ。
だが人間社会に紛れ込んでしまって誰が動物と混合された人間かはわからない。
もちろん通っている学校で私が猫人間だと知る人は主人以外いないだろう。
「さん、7時だから奥様と坊ちゃま起こしてきて頂戴」
「はーい」
メイド長さまに言われこっそりと奥様の部屋に忍び込むと奥様の部屋のカーテンを開けた。
「奥様、7時です」
「あら、もう7時?」
奥様は眠そうにあくびをひとつすると私の頭を撫でてくれた。
奥様を起こすのは昔から大好きだった。
誉められる事は嬉しかったからかもしれない。
でも、もう一人を起こすのは大嫌い!
奥様と同じように部屋のカーテンを開けてみても起きないし。
ゆっくり覗き込んでみる。
長いまつげ、整った顔立ち。
悔しいけどかっこいんだよねぇ・・・。
そう、黙ってる時はね・・・。
枕元でなりだした大音量の時計にびっくりして止めようとベットに身を乗り出した。
カチリと音を立てて止めた時計に安心したのもつかの間、しっぽわしッと掴まれた感覚。
「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!」
私の悲鳴がだっだぴろい家に響いた。
もちろん誰かが駆け込んでいることなかった。
日常茶飯事になってしまっているから。
「いきなりしっぽ掴まないでよ!!び、び、びっくりしたじゃない!!」
「嬉しいかったくせによく言うぜ」
にやりと嫌な笑みを浮かべたコイツは悔しながらも私の主人である。
もちろん"使用人"ではなく”猫”としての飼い主だ。
つい先日高校3年生に進級した氷帝学園高等部で帝王と呼ばれる存在。
名を跡部景吾と言う。
私の反応に喉を鳴らして笑っている。
とても嫌なヤツ。
これが私が世界で一番嫌な仕事はコイツを起こすことだ。
「耳としっぽ出てるぜ」
指を刺され、私の恥ずかしさは絶好調に達する。
「うるさい!あんたがいつも何か仕掛けを作るからでしょ!!」
昔はこんなヤツじゃなかったのに!
地団駄を踏むと景吾はまた笑って着替えようとクローゼットを開ける。
「お前も着替えねぇと遅刻するぜ。」
「分かってる!!」
コイツはきっと世界で一番最低な飼い主だ!!