私は怨霊だと彼女に告げてどれほど経っただろうか。
それでも神子と同じように私への態度は変わらない。
「敦盛?」
耳に届く心地の良い声に敦盛はふと目を開いて振り向いた。
そこには、いつもの笑みを浮かべた想い人が立っていた。
「、殿」
「少し、話をしない?」
私、暇なの。
と、彼女は自らを指差してただ笑った。
彼女はいつもそうだ。
誰にだって同じ態度、同じ優しさを向ける。
だからこそ敦盛は彼女に惹かれていて。
それと同時に不安になる。
「別に、かまわない」
自分でも我が身は穢れていることを知っている。
それは自分に限らず、も知っている事だ。
敦盛がに想いを伝えられずにいる理由はそれだ。
人を拒むような話し方に自分でもうんざりするほどの嫌悪感を抱かずにはいられなかった。
「もう、大丈夫?」
「?」
縁側に座って、は今一度敦盛へと振り向いた。
敦盛はそんな目の前の光景にドキリと胸が高鳴ったが気付かぬふりを決めた。
先程まで笑った笑っていた顔が苦痛に歪んだ。
「お兄さんのことだよ」
声が震えているのに、自身も気付いていた。
お互いに知っていたがそれを切り出さずにいた。
切り出せるはずがなかった。
「どうして、あなたが苦しそうにするんだ?」
とても、優しく敦盛は彼女に問いかけた。
少しは驚いたように目を見開いた。
敦盛も内心驚いていた。
あんな事があって、あまり経っていないというのにこんな声が出せるのだと。
「敦盛が、まだ少し辛そうだから」
「私が?」
「うん、お兄さんを封印した時ほどではないけど」
の顔はまだ少し苦しそうだった。
「あなたの方が――・・・」
ぐ、と出かかった言葉を一度飲み込んだ。
自分の言葉は彼女を苦しめるかもしれない。
それでも覚悟を決めて再び口を開いた。
「あなたの方が辛そうな顔をしている」
敦盛が次に見たのは彼女のきょとんとした顔だった。
彼女はそのままでいたがしばらく経つとぺたん、と自分の顔を触って表情の確認をした。
「私、そんな顔してた?」
「あぁ」
そう、とはまた苦く笑った。
そんな彼女の無理矢理な笑みに敦盛はつきん、と胸に痛みを感じた。
「敦盛が、辛そうだから、だよ。
あんな――悲しそうな顔する・・・から」
私が再起不能になっちゃったんだ、とは顔を隠すように手を当てて小さく呟いた。
「それなのに、無理に笑うから・・・」
「無理には笑っていない。
神子や殿が、あなたがいてくれるから」
私は、また笑えるんだ
「だから、あなたにも笑ってほしい」
そう告げると彼女はまた驚いた顔を見せる。
「そして、名前を呼んでほしい」
その綺麗で、心地よい声でお互いの存在を感じていたから――――・・・
呼ぶ声はいつだって
「名前を、呼べばでいいの?笑って?」
「あぁ」
「そうすれば、敦盛も笑うの?」
「もちろんだ」
お題提供 Seventh Heaven様