むす、とお世辞にも機嫌がいいとはいえない顔では目の前の光景を見つめた。

隣にいる弁慶にちらり、と視線を向ければ彼も「困りましたね」と呟いた。

・・・顔は本当に困ったという表情じゃないけど、ね・・・。
どちらかというとこれは楽しんでいる顔だ・・・。






本当、どうしようかと今度はヒノエに視線を向けた。
ヒノエはあいかわらず神子姫こと望美に対し、歯の浮くような言葉ばかりを並べる。
あぁ、コイツも今隣にいるこの人もまぁ、あれだけの言葉がポンポンと口を付いて出るものだ。



ため息が、口から思わずこぼれる。





あれはあれで望美もの反応を見て楽しんで――・・・いやいやいや、まぁ確信はしただろう。

は熊野で生まれて育った。
そんなときずっと一緒にいたヒノエが別当になって、挙句の果てには八葉になってどんどん遠くに離れていく幼馴染の姿に焦っているのだろう。
その様子が手に取るように分かる。
ならば想いを告げてしまえばいいのに。







あぁ、じれったい。








桜がを嘲笑うかのように空中を舞って、散った。






お姫様の憂鬱




お題提供 Seventh Heaven