童実野町を離れて二ヶ月。
車で一時間。
今の学校はつまらない。
女の子でM&Wが好きな子は少ないし、だからといって男子だけと仲良くするのもどうかと思う。
正直言って趣味が合わない人と話すのは楽しい事なんてひとつもない。
・・・遊戯、元気かな?
杏子からバトルシティのことを聞いて私も応援にかけつけることになったけど、いざ想い人に会えると思うと緊張するものだ。
まぁ、その大会に出るのはその遊戯のほうではない、と言うのも正しいかもしれない。
彼にはもうひとつの人格があって、尽くもう一人の遊戯には邪魔されているのである。
(彼は天然だから仕方ないのかもしれないけど)
体を覚まそうとベランダに出る事にした。
だが次の瞬間には自我も忘れて家から飛び出した。
母の止める声が聞こえたがおかまいなしだ。
「遊戯!?何してるの!?」
「杏子から住所教えてもらったんだけど、合ってるみたいだね」
良かった、と息をつく遊戯だがの頭は混乱状態だった。
ベランダから暗闇の中にぼんやり見えた特徴的な髪。
彼しかいないじゃないか。
「明日行くのに」
「今日、杏子から聞いて急に会いたくなったんだ」
が呆れたように言うと遊戯は頭を掻くようにして呟いた。
明日、会えるのに。
それでも会いたいと思っていたのは自分もなので何も言えない。
「本当は家を見るだけにしようって思ってたんだ」
「こんな田舎まで来て?」
うん、と遊戯は頷いた。
それからしばらく二人は無言でいたが遊戯がふと思い出したかのように顔を上げた。
「会えたしそろそろ帰ってカードの組み立てしようかな」
もう一人の遊戯との約束なのだろう。
明日は大事な大会なのだ。
「送るよ!」
が自転車を引っ張ってくると遊戯は驚いたように「いいよ!」と首を横に振った。
はそんな遊戯を気にも止めず、自転車に跨る。
「ほら乗った!」
「え〜!?僕が後ろなの!?」
当たり前じゃん、とは苦笑した。
遊戯が私の自転車に乗るのは辛いと思う。
・・・身長的に、
渋々と後ろの席に乗る遊戯を見て、明日の応援はしっかりしてやろうと思った。
(弁当でも作って、ね)
022. 声が聞きたい
なんてベタな話!