「狭いな」
「うん」
なぜ達が今なぜこんな状態に陥っているかと言えば少し長い話になる。
図書室に辞典を返すように担任から頼まれたはとぼとぼと大量の辞典を抱えて歩いていた。
やっとの放課後。
さて遊びに行くぞとうきうきしていたにとっては拷問に近いものだった。
「?」
聞こえてきた声に顔を上げるとそこには遊戯こと、もう一人の遊戯が立っていた。
彼はの手元に目をやると目を丸くした。
「それ」
「先生に頼まれたの」
日直だからって頼りすぎだよね、と笑うと遊戯もまったくだと笑ってへと足を進めた。
の手元から半分以上の辞典を取り上げると笑って口を開いた。
「手伝うぜ」
「ありがと」
恋人同士が二人きっりの図書室。
いいシチュエーションにならないはずがない。
ただ、そんなときに誰かが入ってくれば思わず反射してしまう。
慌てて隠れたものの近くにあったのは掃除用具要れ。
片付けの途中なのかからっぽなそれは絶好の隠れ場所だった、というわけだ。
なんでこんなとこに隠れたんだろう。
はそう思いつつも本を全て片付けた後でよかった、と安堵した。
(いやいや、今はそれどころじゃないんだ。
なんたって、近い)
いつもは遠いひとだと感じる彼が今はとても近くにいる。
どのくらいかって?
そりゃ、彼の髪が触れるくらい。
もちろん肌だって触れてます。
改めて考えると顔に熱が集まってきて妙に恥ずかしくなってきた。
外から聞こえる会話はどうも本を借りに来た生徒らしい。
しばらく話し込んで図書室から出て行った。
「・・・行ったね」
出ようとしない遊戯に疑問を覚えた。
遊戯だってこんな狭いとこ早く出たいだろうに。
声をかけてみるがそれでも出ようとしない。
いきなり振り向く遊戯には肩を揺らした。
(うわ、真剣な顔。)
いつもにまして綺麗に見えるそのアメジスト色の目に引き込まれるように動けなくなる。
ただ、そのまま、彼の顔が近づいてきた。
ちゅ、と唇が触れて
まだ少しこのままでいたい。
そう思った。
077. 窮屈なほどの密室に、貴方と