カタン。
春の心地よい温度に小さく音が響いた。
(ああ、今年も一緒なんや)
忍足は少し嬉しそうに微笑んだ。
居眠りしたくなるような日当たりのいい席。
後ろから一番目の席。
「今年もよろしく忍足くん」
「ああ、よろしくなさん」
「去年もこうだったよね。
私が窓際で忍足くんがその隣」
去年もくじでこういう席になった、と懐かしそうに二人は目を細めた。
「チャンスじゃん。忍足」
前の席で寝ていたはずのジローがいつのまにか起きてきて忍足に耳打ちをした。
「ずっと見てたんでしょー?
さんのこと」
だったら早く伝えなきゃ、とにっこり笑うジローに忍足はため息を溢した。
(それができたら苦労せんのやけどなぁ)
「・・・ジローに言われてもうたらおしまいか」
うん。
覚悟を決めよう。
伊達の眼鏡をかけ直しながら忍足は言った。
「さん」
「ん?何忍足くん」
「あのな俺、さんのこと」
窓際の君へ
ずっと見てたんやで。
ずっと伝えよう思てた。
好きやって。